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文・著作権 鈴木勝好(洋傘タイムズ)

Y O U G A S A * T I M E S * O N L I N E
◆◆◆ 今日ひらく傘ことば ◆◆◆




◆ 人に貸すとも傘は日向に乾かすな
人に傘を貸すとこわれたり、返してもらえなかったりする恐れもあるが、日向にほて
痛める損害に比べればまだ軽い。傘を日向に干すのを戒める教え。洋傘も日蔭干しが
肝要

◆ 巳の時に晴るる雨に傘離すな
午前10時頃に降り止んだ雨は、再び降り出すことが多いから雨具の用意を忘れるな。
「四つ晴に傘放すな」も同じ。これと対に「四つ晴日和なし」とも

◆ 八つ晴れには傘放せ
午後2時頃にあがる雨は、再び降り出す心配はない。「八つ晴れには傘放せ、四つ晴
には傘放さず」


◆ 唐傘天狗風
突風(つむじ風)で傘が舞い上がることから、いい気になっている。増長していると
いうしゃれ言葉。「傘屋の天狗風で舞い上がる」ともいう。

◆ 傘に乗る
人のさしている傘に入る。調子にのる。(岡山、山口地方の方言から)

◆ 姉は菅笠、妹は日傘
姉妹でも嫁ぎ先によって身分、境遇が違ったものになる


◆ 傘屋の小僧
「骨折ってしかられる」と続く。せっかく一生懸命やったのに誉められず、叱られる
ばかりというしゃれ地口

◆ 傘屋傘骨かぶる
「紺屋の白袴」と同じ。人のためばかりに忙しくて自分のことに手が回らない。

◆ 傘を燃やすと気違いになる
(播州赤穂地方の俗信、ことわざ)

◆ 家の内で傘をさせばネズミが荒れる(俗信)
西欧でも家の内で傘を開くことを忌む迷信がある

◆ 猫に唐傘
猫の前で傘を急に開いてびっくりさせること。驚くこと、嫌がることのたとえ。

◆ 天狗に唐傘取られたよう
天狗風(突風)に遇ったように防ぎようがなく、どうしようもないたとえ

◆ 後生と雨具はてんで持ち
人の傘の下に割り込んでは雨風をしのげないように、他人の積んだ徳行では極楽往生
はできないこと。他人をあてにしてはいけないというたとえ。

◆ 扇は要(かなめ)、傘はろくろ
要点が大切であることのたとえ

◆ 差せ干せ唐傘
傘を使ったら日に干せという語呂合わせの教え。「させほせ唐傘、壁に立てな唐傘、
人に貸すな唐傘」とも続ける


◆ 夕虹立てば鎌倉へ傘持つな
夕虹が立つと晴天が続くという俗信

近年めったに見かけない(?)のが相合傘の風景
江戸川柳には

◆ 男と女半分ずつ濡れてゆき
◆ 相傘に握りこぶしが二つ出来
◆ 相傘の片手を涎らす水溜り
◆ 濡れた方から横にさす傘

  などロマンティックな情景が詠まれている


現代川柳では
◆ 傘一つたたんで話近づける(圭林)
◆ 一方をつぼめ相合傘の恋(如仙)



◆ 濡れぬ先の杖(降らぬ先の杖)
転ばぬ先の杖と同義。傘は雨が降り出す前に用意しておいてこそ価値がある?

◆ 傘と提灯は戻らぬつもりで貸せ
必要な時は大変役立つが、不必要なときはとかく忘れがちである。ずばり「人に貸す
な唐傘」とも

→後生はてんで励み







【 江戸川柳から 】


前述の諺「人に貸すな唐傘」「傘と提灯は戻らぬつもりで貸せ」に関連するものでは
・・・・・

◆ 人柄に傘一本貸しなくし
この人なら大丈夫だろうと思って傘を貸したが、返してもらえない。


(だから貸す方も戻らないことを計算して)、
◆ ひろげるとひっくり返る傘を貸し
◆ さし様の指南し借す破れ傘
返らなくても困らないような破れ傘を貸すと????


そんなこんなで
◆ 破れ傘五六本あるずるい内
破れ傘とはいえ、これではあまりにも不義理というもの


しかし、そんな人ばかりではなく
◆ 夕立のあした鰹と傘をさげ
お礼代わりに鰹を手土産に傘を返しにくる人もいる。こんな人にはぜひにも貸したく
なろうというもの







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