「挫折からの出発」物語編 Page9
ほとんど望みのない「ご近所売り」に託すという進路変換を余儀なくされました。
とはいっても喫茶店仕様の仮住まい、にわか仕立ての珍奇な傘屋で訪れる人もほとんどいない状態。
告知のためにビラをつくり新聞に折り込んだものの効果はゼロ。
そこでとうとう今まで経験のなかったゲリラ的ビラ配布をはじめました。
高級マンションを狙っては管理人さんの目を盗んでビラを入れ、犯罪者のように逃走。
「宗教団体」の勧誘と間違われてひどく怒られたり、
配り終えた帰路に無情にも捨てられていたり、
アナログビラの訴求力が極めて希薄であることを思い知らされるだけの結果に。
心斎橋ではビラ配りに注意をする役職にありましたが、逆の立場になってせっぱ詰まった
心境が理解できました。彼らも生き残るために必死だったのです。
仮住まいの家にかえっても、子供達の顔をみるたび
「果たして、この道は正しかったんだろうか?あの選択は間違っていなかったんだろうか?」
という深刻なる自問自答が毎晩続いたのです。
たしかに心斎橋での多額の借金地獄、相続地獄は店舗売却でしのぎました。
しかし新たなるタイムリミットが出てきたのです。
もしインターネットでの商売が本格的に稼動しなかったら・・あと何年持ちこたえられるのでしょう。
しかし我々には選択の余地はありません。もう、インターネットと心中です。
希望と絶望は表裏一体。いまだ見えることのない果てしのない「どん底」。
静かなる雪崩の音を遠い幻のようにききながら、
報われることのない汗にまみれたTシャツは、
日が沈めば芯から冷えていきました。