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kasaya.com
asahiパソコン 1999.8.1
コンピュータピープル
目指すは傘のポータルサイト

 100年の歴史を誇る傘の老舗「心斎橋みや竹」は97年に幕を下ろした が、パワーあふれる4代目はインターネット傘屋「kasaya.com」 (http://www.kasaya.com)を開業。  2000円から20万円まで幅広く商品をそろえ、今年になってようやく採 算が取れるまでになった。  その体験をもとに、ウェブ・ショップを立ち上げる方法や苦労話から HTMLセミナーまでを同ページで公開している。

(写真・堀内義晃)



◆傘専門のページを始めた経緯は?
 3年前に心斎橋の店舗が窮地に陥ってどうしよういかと悩んでいたころ、 アメリカではインターネット通販というのがあるという話を小耳にはさん だんです。日本ではまだ珍しかった時期です。  96年3月に初めてパソコンを買って、まったくの手探りで始めました。 試験的に始めたのがその年の6月、正式運用が10月です。心斎橋の店は97 1月末日に閉めました。
◆店舗とインターネットの違いは?
 インターネットで物を売る、ということを簡単に思っている人が結構多 いんですよ。ところが実際には目に見えない人物から、手に取ったことも ない商品を、経験したことのない決済手段で買うわけです。その部分でク オリティーやルールが不可欠だと思うんですよ。  店舗と同じように財布を出して買い物する感覚にならないと、なかなか インターネットで物が売れるようにはならない。インターネット通販のレ ベルを上げないといけませんね。
◆自分の経験をすべて公開しているというのはそのため?
 『インターネット通信販売の始め方・儲け方』という本を書かれた岸本 栄司さんのページ(http://www.easy.ne.jp)に出会い、通販の勉強がで きたことで今の自分があります。その恩返しです。僕が得たノウハウを必 要としている人もきっといるに違いないですから。自分の経験と培ったノ ウハウを公開することで、これからインターネット通販を始める方が、あ る程度高いレベルから始められると思うんです。そうした循環で業界全体 のレベルアップを図りたい。
◆いいかげんな店が一つでもあると、「こんなもんか」と思われてしまう。
 まさにその通りなんですよ。第一印象が大切なんです。始めて買い物を した人が、商品が届いてないとか、返品できないとかいう目にあうと全体 の信用が失われる。自分の店のことばっかり考えていてはだめ。ネットワ ークが大事。いつまでたっても孤軍奮闘ばかりしているところは、絶対伸 びないと思います。
◆手にとって買えない商品の見せ方、どんな工夫をしていますか?
 写真は専門家じゃないのでいつも苦労しています。でも、僕には傘の良 さを読む力があるんです。傘に「君のよさはどこですか?」って聞くと、 傘が「私はこの角度から撮ってね」と答えてくれるんです。ウソみたいで すが本当なんです。
◆老舗の傘屋を潰してしまったはずなのに、インターネットという場 で大きくなったと考えることもできますね。
 心斎橋の看板がとれて全国区になりました(笑)でも最初は「本当にこ のインターネットの中で商売ができるのか」か、という不安もあってね。 確信が1で、だめだろうなが9くらいでしたね。われわれのような個人商 店レベルでどのくらいできるのかわからなかった。  普通、インターネット通販を始めるときは、戻る陸地がありながら海を 泳いでいるようなもの。でも私は島が沈んでしまったんです。戻るところ がない。自分で泳ぐしかないから、仕方なく泳ぎ方を覚えた。泳げなかっ たらいつでも陸地に戻るよ、という気持ちでやっていると、なかなか本腰 がはいらないでしょう。  僕がお世話になった岸本さんも同い年なんですけど、彼も同じ状況だっ たようです。今年40歳ですが、「男は40にして立つ」ですね。普通は「惑 わず」なんですけれど(笑)