和傘のできるまで


 楮、真竹、チシャの木、数種類の植物油、カシュー、柿渋、タピオカ など、数々の天然素材は、十数人の熟練職人の手を経て、数カ月をかけ て傘に仕上げられます。その行程は数ある工芸品の中でも複雑を極め、 大工程に分けても9つ、中工程では50以上、全工程では100を越え ます。その中でも特に重要とみなされるのが、骨削り、張り、仕上げで す。

 骨師は、傘の姿が自然に生えている竹のようになるように、後から張 られる紙と糸とが骨の間に入ることを計算して、一本の骨に太い細いを つけて削ります。一本の竹が印をつけた後に数十本に削られ、削られた 後にもとの順番にそろえ直されます。

 張り師はただ紙を傘に張るだけでなく、先へ行くほど狭くなる骨間に 紙をたたみこまなければいけません。 その際、できるだけ紙にしわを 寄らせずに、美しい円筒形に傘を閉じられるように配慮します。傘は何 十回、何百回と雨に濡れ、閉じたり開いたりするので、紙が破れたり骨 から浮き上がったり、形が崩れたりしないようにするには、熟練の技が 要求されます。

 仕上げ師は、張り上がった傘に油を塗り、天日で乾燥させます。この 時、油が多過ぎると紙がくっついて傘が開かなくなりますし、少な過ぎ ると雨もりをしてしまいます。数日して傘が干し上がると、骨の上に漆 (カシュー)を塗ります。細い骨の上だけに素早く漆を引くにはまさに 職人芸が要求されます。

このほかにも、削りあがった骨を釜茹でにして赤茶・黒などそれぞれの傘に合った色に染める骨染め、親骨と小骨、ろくろと親骨、ろくろと小骨をそれぞれ糸でつなぎあわせて一組の骨組みにするつなぎ、ばらつきのある手漉きの和紙を同じ厚さのものに選り分ける紙より、できあがった傘の内側に飾り糸をかけるかがりなど、目立たないながら非常に手間のかかる工程がたくさんあります。 皮肉なことに、余りにも多くの多種多様な工程があるために一本の傘を一人で作り上げるのは至難のわざで、後継者育成の妨げともなっています。

マルト藤沢商店 藤澤暁夫



和傘 岐阜